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『倒錯のロンド』気持ちよく感覚が狂ってくるロンドはこちらです。 -読書感想

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ジャンル:ミステリー

 

ミステリ小説もそこそこ読んでくると、次こそは絶対に騙されないし自力でトリック解く!みたいな気持ちになるし

それが叙述トリックなら尚更負けねえ、みたいに思ったのも束の間、今回もダメでした…

 

感想

人生を賭けて書き上げた、ミステリ小説新人賞の応募作品が盗作された挙句、他人名義で大賞を受賞していた。

 

そんな始まりを迎える本作。一見コメディーのようで、しかしガチガチのミステリー。

その叙述トリックがもはや気持ち良い

 

絶対に騙されない気持ちで挑む

本作を紹介していたサイトや、あとがきではっきりと叙述トリックと書かれていたので、それはネタバレではないらしい

 

叙述トリックと分かっているなら、意識して読めば負けるはずがないでしょと意気込んで読み出すが

いやぁ、面白いですね…。作品と盗作された者・盗作した者・その関係者の入り乱れる視点と描写

本作中盤に至る頃には、最初の意気込みは何処へやら、早く本作のトリックを知りたくて読み進める状態に

 

倒錯のロンドというタイトル

そのままを体現するように進む展開が癖になってくる

作中何回も登場する、とある文章。それが区切りのように思え、その後の展開も気持ちの良い倒錯のロンドで堪らない

 

一応どんなトリックなのかを考えて読むし、実際気になるポイントとかも幾つか見つけたつもりだが

そんな気持ちの良い、まさにロンドといったテンポの文章とその展開に釘付けに

 

ミステリ小説だからまぁ殺人も起きるんだけど、それ+本作の根幹である原稿の盗作。

それらに叙述トリックが合わさる凶悪さを味わう。分かってても、展開にドギマギしてしまう。

 

叙述トリック

本作のあとがきにあったが、叙述トリックは賛否が別れるウルトラC的なもので

本作が応募された賞の選考でも、それ故に評価されなかったらしい。そんな馬鹿な

 

しかしミステリ小説を、自分も作中人物として作者に挑むように読んでいる人には確かに、読者の錯覚や

意識の一角を突くようなものはウケが良くないのと理由も分かるような気もする

しかし、個人的には叙述トリックのそんな虚を突くような、一瞬の閃光のよう感覚が堪らないし

何よりも、小説という媒体の力をフル活用してる感じが好きでして。

 

おわりに

分かっていても作者の手の平で転がされる感覚を味わえる本作

完全に負けてるのに、むしろ全然嬉しい。そんな感覚が面白い

 

叙述トリック作品の、今まで読んでいた世界が逆転どころか意味が分からなくなる感覚。めっちゃ良いですね…

 

 

 

倒錯のロンド (講談社文庫)

倒錯のロンド (講談社文庫)

 
倒錯のロンド (講談社文庫)

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