『プラスティック』 あなたは何を書き込みますか? -読書感想
ジャンル:ミステリ
フロッピーディスクって知っていますか?
先日、フロッピーを知らない世代も続々と社会デビューしてるとある記事を読みまして…
ビデオテープもそうだけど、フロッピーディスクも1周してオーパーツのように思える
今回は、そんなフロッピーディスクが主役のミステリ小説(強引)
感想
とある主婦による日記から始まる本作
そこに現れる奇妙な出来事をきっかけに起こる事件の記録
交錯する視点
一つの事件を、様々な人物の書いた文章の提示のみで描写するスタイルは新鮮
あくまで、その人物の主観で綴られる文書は食い違いなどもあり、そこに推理する面白さがあった。
主観の曖昧さ・不完全さといったものは、ミステリーに限らず題材とされる事が多い
本作は、読者がいきなり事件へ放り込まれる。
そして、各々勝手な行動やエピソードが盛り込まれた文書を巡っていく。
一つの事件を複数の視点で見る面白さもありつつ、その矛盾に混乱する。この感覚が楽しい
仕掛けが分かっても最後まで楽しめる
本作のトリックいうか仕掛けは、あまり難しいものではないと思う。
初版時(1994年)はともかく、現代では読んでいると何となく察する人も多いのではないか。
しかし、だからといって本作の面白みが無くなるという訳ではなかった。
むしろ、そこからが本番というか。
この仕掛けを持った本作がどんな終わりを迎えるのか興味津々が止まらない
むしろ、途中で気付いてしまった人こそ楽しめる余地がある、そんな懐の広さを感じる
気になった点
- 本当に全編が人物の書いた文章で構成されているので人を選ぶ
- 仕掛けに気づいても楽しめると書いたが、そこで興味を無くしてしまう人もいるかもしれない
- モヤッと系ミステリ小説
おわりに
幾多の人物の、日記、メモ、告白書、レポートが積み重なり
一つの事件が描かれ一つの結末を迎える展開は新鮮かつ、唸ってしまった。
初版が1994年(!?)そんなものは関係ない。面白いものは今でも面白い説をめちゃくちゃに補強してくれる
何か90年代って今振り返ると良い感じのカオス感ありましたよね…
決して明るい内容ではないのに、気持ち良いくらいに駆け抜ける
そのラストシーンに痺れる
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