古代史捏造 旧石器発掘捏造事件とは何だったのかを探る
内容紹介
ジャンル:ノンフィクション
2000年に起きた
旧石器発掘捏造事件
本書はその影響と事件後を描く
これより先に刊行された
「発掘捏造」の後日談的内容
前作と同様に取材班の活動記録を
纏めたものとなっている
前作に引き続き
前中期旧石器時代の初歩的な知識
そして、捏造事件に対する
学会、各自治体、研究者等
幅広い範囲で影響を見る事が出来る
感想
[20年の研究が消える]
この事件の最大の影響
根拠となる発掘成果が全て捏造であったため
このような事態に
日本人のルーツを探るためにしていた発掘が
それを余計あやふやにしてしまっていた
その後残ったのは、資料価値がなくなり
埋め戻された、「元」遺跡のみ
というのは、ちょっと皮肉過ぎないか
研究者の苦悩や嘆きを伝えるシーンもあるが
- 重大な発掘が1人の人物に集中する状況について疑問を持たない、持つ意見は排除されていた
- 1人の学会権威者がお墨付きを与えると簡単にそれを受け入れる
- そもそも、前中期旧石器時代を研究するに当たり、日本考古学者の能力不足
などといった過程を
既に見てしまっているので
どうしても少し冷めた目線になってしまう
[旧石器発掘捏造事件とは何だったのか]
今回の事件を追ってみた結果
発掘捏造という考古学での事件であるが
見たい物信じたいものが現れると
それを受け入れてしまいやすい
という人間の心理が大元にあり
そこに日本考古学の独特な
科学になり切れていない部分
学閥や権威的なもの
自浄作用の欠如
海外を含めた発掘成果の議論不足
過熱した報道と地元の盛り上がり
等々が絡まり
最終的にこのような結果に
なってしまったのではないか
と感じた
[どんな人に勧めたいのか]
- 発掘捏造事件を、ゴッドハンドという名称だけで通り過ぎてしまった人
- 事件のその後を知りたい人
- 00年代前半の日本考古学に興味のある人
関連記事