発掘捏造 日本人のルーツの為に戦った記者の記録
内容紹介
ジャンル:ノンフィクション
2000年に起きた
旧石器発掘捏造事件をスクープした
毎日新聞取材班の記録
実在の事件の取材記録ながら
まるで小説を読んでいるかのような
面白さと流れがある
感想
[疑惑の芽生え]
今回の始まりは1通の電子メールから
その始まりが既に物語性がある
「画期的な発掘が全て1人の人物に集中している」
こんな当たり前の疑問から全てが始まっていく
[捏造を追う]
取材活動の内幕が語られる中
それは本当に泥臭い
- 知識者にインタビュー
- 発掘現場に前乗りの張り込み
- 失敗を改善に次に進めていく過程
新聞記者の取材と聞いて
真っ先に思い浮かぶ以上の
取材活動であるが想像以上に過酷
元々自分達が背負っていた仕事に加えて
この捏造事件を追う活動があり
しかも、この取材班は東京ではなく
北海道支社の記者で構成されている
そういった地理的な面に加えて
旧石器や考古学という未知の知識を
自分のものにしていく勉強もしながらであり
その姿はマスコミに期待している姿を見せてくれる
[メディア側の視点から見る]
今回の事件について、やはり新聞社側の記録なので
スクープを狙う、他社との比較など
私的な面が出てくるのはどうしても否めない
それでも先に述べた取材活動の描写や
一つの事件を記事にして報道するまでの過程が
見られるのは興味深く
受動的にニュースを見ているのではなく
こういう本を読んで初めて得られる景色だった
[まとめ]
初めては捏造に対して半信半疑であった
取材班がその活動を通して
自らで獲得した知識を基に
疑惑が確信に変わり、捏造の瞬間を
カメラに収めるまでの過程は
一つの小説を読んでいるかのようでもあった
そして、何よりも個人的に心に残ったのは
「日本人のルーツに関わる歴史の歪曲を
21世紀に持ち込むわけにはいかない」
という言葉
そういう気持ちを持って活動する記者の姿を
素敵だなと思った
関連記事