メルキオールの惨劇 独特の文体からから紡がれるどこか狂った世界の出来事
ジャンル:ホラー
あらすじ:他人の不幸を集める事が好きな依頼人の命を受けた
「俺」が自分の子供の頭部を切断した母親を訪ねるが…
小説を読んでいて
「これ合わないなー。買うの早まったな 」
なんて思いながら、せっかく買ったしと読み進めて
「結構面白いじゃん!」
って評価が変わる事ってよくあります。
今回、久々にそれを味わいました
感想のようなレビューのような
最初、タイトルに惹かれて買いました。
「メルキオールの惨劇」
めちゃくちゃカッコいい
そんな気持ちで読み進めると
その独特の文体と、グロ混じりの生理的に嫌な描写に
注文した時の気持ちが萎んだ記憶があります。
(10Pでリタイアした人もいるらしい)
それでも読み進めて行くと
ある地点で転換が起きる。
そこから、最後まで一気に読み進めてしまった。
まだまだ、こういう経験が出来るんだなって
嬉しくなってしまったくらい
グロ描写は中々鮮明
しかし、この狂った出来事の行方が気になってしまう
中盤の、彼の目覚め
それまでが世界観を説明するチュートリアルくらいの気持ちで
読んで欲しいですね(^人^)
[ネタバレを含む感想]
正直、最初は買ったの失敗したと思った
犬をぶん回して散歩する奴やら
街の死に具合の妙に迫ってくる描写
ジョークのように語られるグロ
それに付き合いながら読んでいくと
(序盤からハマれる人は最高だと思う)
メルキオールが登場する
そこから、一気に物語が進んでいく
主人公の過去や
メルキオールの語るこの出来事の顛末
バルタザールとの駆け引き
それまで独特の文体だなぁとしか捉えていなかった書き方が
こちらを一気に物語に惹き付けてくる
主人公の「俺」は到底自分を重ねられないが
「俺」と重なっていく
どのサイトでも見られる
あらすじの内容は既に遠い過去の出来事
メルキオールとバルタザール
この両者の顛末と
この物語の終わりが気になる
気づいたらこうなっていました(^人^)
結末は、灰色のように見えるけれど
その景色を読みながら想像すると
無常と哀しさとある意味の美しさがごちゃ混ぜになって
狂った出来事のはずなのに
一つ、平穏な終わりを迎えたように思えてしまう
そんな謎の後味を残していった作品でした
カバー裏の解説で
「ホラー小説の歴史を変える」
という文があったけど
正直、これはホラーか?
と思った。
しかし、充分に面白かった