凶悪 ある死刑囚の告発 -読書感想
内容紹介とレビュー
ジャンル:ノンフィクション
ある死刑囚の告発により発覚した
後に、上申書殺人事件と
呼ばれるようになる殺人事件
その内容と告発から裁判までの流れについて
告発を受け、取材活動を行った記者の記録
良かった点
- 担当記者の心情を挟みつつ、出来るだけ中立に事実に基づいている
- 事件の、一連の流れが分かり易い
- その内容が面白い
気になった点
- 事件自体は結構エグい
- 既にニュース等で本件について知っていると若干のネタバレ感は否めない
- 告発者も死刑囚だけあって極悪人
感想
[ノンフィクションの面白さ]
収監されている死刑囚が告発する
新たな殺人事件と、その首謀者
しかも、その犯罪は警察に認知されていない
完全犯罪であった。
そんな小説のような展開から始まる本書
小説に迫るような展開の連続は
事実は小説より奇なり
という言葉を体現しているかのようだった。
[存在した完全犯罪]
人が殺され、その不動産の転売や保険金から
利益を得る者がいる。しかも、そんな事件が
表沙汰にならないままでいる。
そして、それが現実として起きている。
これって結構怖いことだと思う。
自分が遭遇するかはいざ知らず
- 一連の工作をする環境にある者
- 殺害を躊躇なく実行出来る者
- 人間関係の希薄で、資産を持つ者
こうした者達が出会ってしまう事の
凶悪な悲劇と、悪質性を垣間見た気分だ…
[おわりに]
警察に認知されていない凶悪事件の数々が
告発と、それをきっかけとした取材活用で
明らかになっていく流れは、劇的でもある
しかし、その一つ一つの事件は実行され
奪われた命もある、現実の出来事だ。
それを思うと、ただ本書の面白さだけに
満足で終われない、何とも言えない気分を
味わう。
創作でない、ノンフィクションだからこそ
描ける事件がある
それを再認識出来た一冊