『連続殺人鬼 カエル男』カエルが運んできた暴力と問い掛け -読書感想
内容紹介
ジャンル:ミステリー
連続殺人鬼カエル男による無秩序な猟奇殺人と、それに翻弄される警察。
やがて、狂気は街全体を包んでいく
感想
先日、本屋を歩いていたら、本作が平積みになっているのを発見して驚く。
「?」と思っていると、帯に何やらテレビで紹介されたらしい。
どんな紹介がされたかは見ていないから分からないが、すごい事するなと思った。
パッと目を引くイラストの表紙
しかし、その中にある物語は中々の地獄。
得体の知れない狂気
本作の序盤~中盤はまさにカエル男のターン。一向に捜査に進展のないまま積み上げられていく死体
通り魔殺人など、珍しくもなくなってしまった現代。だからこそ通ずる、得体の知れない不気味さがあった。
カエル男による猟奇的な連続殺人だけでも、十分にインパクトがある。
しかし、そこだけで終わらないところに、本作が只のサイコミステリーでない由縁がある
一つの問い掛け
中盤~終盤に掛けてされる、一つの問題提起
多分、ニュース等で誰しも1度は思った事がある疑問。
それが中核に組み込まれるようなり、読み進める内に自然と、考えざるを得なくなる
ただ、サイコな殺人鬼が人を殺しまくるだけの本じゃないんです。
気になった点
- 暴力・虐待描写のエグさや、主人公の戦う場面が多いところ
- よく出来ているが、やや強引感もあるトリック
おわりに
解説にあったが、カエル男というのは出版する際にタイトルを変更したもので
本作の原題は、『災厄の季節』というらしい
本作の内容は正にそんな原題を反映する。
正直、最後まで読んでもあまり気分は晴れないけれど、その終りがひどく似合う