知の逆転 -読書感想
内容紹介とレビュー
ジャンル:新書、サイエンス
政治、科学、数学、ロボット工学など
各分野の一流に、それぞれの現状や展望
個人的な考えや経歴等のインタビュー集
良かった点
気になった点
- あくまで、本書刊行当時の最先端であること
- それぞれに好き嫌いがハッキリしている(特に本のジャンル)
感想
[魅力的なインタビュイー]
本書に登場するインタビュイー達は
みなそれぞれの分野での一流の研究者であり
その語る内容は、刺激的で面白い。
質問に対して快活にハッキリ答える姿勢には
好感が持て、その言葉の節々からは
自分の仕事に対する自信とやりがい
そして、何よりも楽しんで取組んでいる事が
伝わってくる
ともすれば、知識人といえば偏屈で頑固
というマイナスの印象を持ってしまうが
彼らはそんなものを綺麗に払拭する
魅力を発揮してくれる。
[ロボット工学の行先は]
現在のロボット研究について氏は
人間のマネを目指すだけで
ドアを開けるというような
実用的な研究が活発出ない事が分からない
ロボット工学は30年失われた
と中々ショッキングな発言をしている。
確かに僕がパッと思い浮かべたり
テレビに登場するロボットって人型の
人間の動きをして見せるものが多い
しかし、有事の現場ではそれよりも
人間が活動出来ないような場所で作業する
むしろ、ロボットを開発するのは
そういう事態に対応するためだったのでは
ないか、と
新しい考えというか疑問を得られた気がする
見栄えばかりで肝心なところが
停滞したままである
という鋭い指摘を見る
[トム・レイトン博士]
今回のインタビュイーでの一推し(笑)
MITの数学教授であった氏が
IT企業アカマイ社の立ち上げから現在までの
エピソードは、単純に読んでいて面白いし
数学が実際の現場でどのように役立っているのかを
分かり易く説明してくれる
媒体が本であるし
間に訳者が入っているので
勿論、氏のそのままの発言や雰囲気ではない部分もあるだろうが、それでも読んでいると氏の仕事にやりがいと自信を持ち
楽しんでいる生き生きした姿が伝わる。
アカマイ社について、今回初めて知った僕は
氏の「誰も知らないインターネット上最大の会社」
という紹介がズバリそのままだった
(後日検索したら、アカマイ社は日本語のホームページもあり、レイトン博士は経営最高責任者になっていた(インタビュー当時はチームサイエンティスト)。)
[まとめ]
本書を読んで特に感じた事は
みなエネルギーに満ち溢れている
という点だ。
自分の仕事にこれだけエネルギーを持って
取り組めるというのは、正直めちゃくちゃ羨ましい…
(しかも、皆さんとても若々しい)
自分の興味のある分野から初見の分野まで
幅広く、やや突っ込んで知る事が出来る
何よりも、彼らの自信を持って
明確に語る姿が素敵だ。
言葉の力、それを語る人の魅力
そういったものを再確認する1冊
関連。本書の第2弾