すーさいどは遠い論

タイトルほど過激でない。ゲームと酒とアイドルに溺れる生活ログ(^人^)

愚行録 おろ-か[愚か]2.ばかげているさま。 -読書感想

 

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内容紹介とレビュー

都内で発生した一家殺人事件

夫は早稲田出身

不動産会社勤務のエリートサラリーマン

妻は慶應出身のお嬢様で、子供が2人

 

あるルポライターが行った

被害者夫婦の関係者へのインタビューを

中心に、そんな完璧な家族の真の姿に迫る

 

良かった点
  •  インタビューを中心とした内容という、他の小説とは異なった面白さがある
  • どこか、他人の秘密を覗いているような感覚
  • 読み終えた後の、何とも言えない感情

 

気になった点
  • 一家殺人事件がメインではない
  • 犯人とその動機は評価が割れそう
  • インタビューの妙に生々しい内容が時々しんどい
感想
[事件ではなく人を掘り下げる]

本作ならではの要素

ママ友、同僚、同級生、元恋人等の知人を

インタビューするという形式で

被害者夫婦の人物像を掘り下げていく

 

[他人が、他人を語るということ]

本作に登場する人物は皆

精神異常者でも犯罪者でもない、普通の人だ

そんな普通の人々が語るエピソード集が

面白いのか?と言われたら、中々に面白い。

 

基本的に仕事や人間関係、男女問題に関するエピソードだが

それを本人から直接聞くのではなく、間に他人(とその主観)が入る事で

被害者夫妻の、良く言えば人間らしい

悪く言えばエグい姿が垣間見え、その印象は2転3転していく

 

それと同時にインタビュイー(インタビューされる人)の内面も

徐々に感じられ、それが変に生々しく引き込まれる

 

[次第に薄れていく事件]

一家殺人事件というショッキングな事件で

幕を開ける本書。実際、僕もその設定に

惹かれて本書を購入したクチ

 

しかし、作中でその扱いは驚く程に小さい

捜査の進展具合の描写とかないし

せいぜい、たまにインタビュイーが

「そういえば~」と口にする程度でしかない

 

僕自身もこの事件は、読み進めていくうちに

いつしか輝きを失い、本作中で語られている

様々なエピソードの一つに収まっていた。

そんな感覚になる。

 

一つのメインに据えて書けそうな事件を

導入装置に振り切った感じがすごい。

 

[まとめ]

最後に犯人が明らかになるも

読み終えた時の気持ちは無常というか

灰色というか。本書タイトルの「愚行録」

それがそのまま感想になってしまう。

そんな印象を受ける

 

インタビュイーの書き分けは見事で

性別・年齢・職業の異なる複数の人間が

そこにいたし、それぞれの本心や性格が

徐々に透けて見えてくる感じはリアルだ

(こいつ嫌な奴だな~と思う人もいた)

 

事件の真相を知ったところで

カタルシスがある訳でもない

ただただ、被害者夫婦を中心とした

過去から現在までの出来事が並んでいる

しかし、何か不透明なものが胸に残る

そんな嫌な重みがある記録の一冊

 

[その他]
  • 帯に載っていた映画版のキャスト、夫役が妻夫木聡でイメージが適役過ぎて笑った
  • 本書の一家殺人事件のモデルは、やはり世田谷一家殺人事件か?

 

 

若干のネタバレ

本書の開いてすぐに

一つの新聞記事が載っている

 

本書を一気に読み終えた人は

どうか分からないが

 

僕は、読み終わるまで1週間程掛かった中で

本編・解説を読み終え、何となく最初に戻り

その新聞記事を見た時の衝撃は

最近読んだ本でも一番だった。