新耳袋 殴り込み 第一夜 いい歳した大人が全力で心霊スポットに殴り込む
内容紹介とレビュー
ジャンル:ドキュメンタリー、ホラー
怪談の舞台となった場所に実際に行ってみる
というコンセプトの時点で期待が高まる
いい歳した大人達が本気で乗り込んで
本気で怖がるドキュメンタリー
[良かった点]
- 実際に行ったからこその怪談現場の描写には説得力がある
- ちょっとした描写の中に現れる不気味さや怪しさ奇妙さ
- ドキュメンタリー形式であるが、文章のテンポの良さなどから、最後までダレずに読む事が出来る
- ギャグ寄りの文章が面白い。ホラー一辺倒でない楽しさがある
[気になった点]
- 全体的にはギャグ寄りな文章であるため、純粋にホラーを楽しみたい人には薦めにくい
- 道中のノリも本当に騒いだり面白おかしくやっているだけなので、それが合わない人もいるかもしれない
- 新耳袋の舞台に突撃といっても、ただの怪談スポットに行った話もある
- 明確なオチがない。良くも悪くも、取材班が現地に行き体験した出来事の記録である
感想
[全部本気だから面白い]
現場潜入中の様子に怪奇に触れて怖がる
小学生のような言い合いや
譲り合いを繰り広げる
それらを全て中年男子達が本気でやっている
そこに、このシリーズの面白さがあり
今後のシリーズに承継されていく形が
既に見える
いい歳した大人達の本気の肝試しがここに
[嫌な後味]
全体的に明るめの珍道中的なノリとはいえ
そこは角川ホラー文庫である
随所に違和感が現れる
それは天狗神社の話で頂点に
「我々とは違った理の中で生きている
人々の存在」
というものを強烈に
意識させる不気味さがある
[まとめ]
ホラー好きであれば、1度は考えてみる
現地への突撃
肝試し的でもあり冒険でもある内容が面白い
取材班の個性的過ぎる面々のおかげで
道中から現地への潜入まで、テンポ良く
読み進められる
普通のホラーものとはちょっと違う
現場を歩く、そこで異質さに触れる
そして、実際に体験してしまう
その様子が面白おかしくも
不気味さを伴い描かれている
それが本書の魅力であると思う