12月25日の怪物 サンタクロースの正体を追う旅で辿り着いた一つの温かな答え
ジャンル:ノンフィクション、ルポルタージュ
概要:サンタクロースのルーツを追い、筆者が世界を巡るその記録
感想のようなレビューのような
その存在を信じていた頃からサンタクロースという存在を
割と違和感なく受け入れているし
いい歳した今でも、プレゼントくれーと
思ってしまう
でも、サンタクロースって何なのかと真面目に考えた事は無い
そんな僕は本書のタイトルに釣られてしまうのでした
[世界各国を巡る冒険の記録]
本書は筆者が、様々な国を訪れ実際に調査、取材を行った
その記録である
かと言って、そう固く構える必要も無く
一つの紀行記のような感じで読む事も出来る楽しさがある
その旅の様子は鮮明で、自分自身も旅をしているような
新たな土地を訪れる感覚で読む事が出来るのは
さすがといったところ
[サンタクロースとは何か]
本書のメインテーマ
それを追って各国を巡る旅の記憶なのだけど
行く先々で新たな発見があり
更に新たな謎が生まれる展開は
よく出来たミステリーを読んでいるかのよう
サンタクロースという
世界共通のテーマを扱っているはずなのに
訪れる国によってそのルーツや
立ち位置が微妙に異なっている
そんな部分にこのテーマの奥深さと
一つの人間味や各民族の歴史を感じられる嬉しさがある
[ネタバレを含む感想]
サンタクロースのルーツを探っていく結果
それは豊饒や民の健康や幸せをもたらす
その土地に親しまれていた
精霊、伝説の存在
恐ろしさもあるけれど全てを包み込む優しさもある
そんな古の土地由来の神々であった
その神々達は、キリスト教の布教政策や西欧化に追われてしまうが
その後も民の心に残り続けた風習(後のクリスマス)で
生き続けている
日本人はキリスト教徒でもないのにクリスマス云々~という批判も
(僕も持っていた時期がありました…)
的確ではない、むしろ、ある意味クリスマスを受け入れる理由がある
という結論になる
そんな逆転的な結論もスッと受け入れられるのは
筆者がこの旅に真摯に向き合って来たのを
本を読みながら、見てきたからだと思う。
[本書を通して得られたこと]
サンタクロースのルーツが複数あり
その原型と変遷を通して現在のスタイルが
出来上がる過程の、一種の謎解き要素
旅、というものの壮大さと楽しさの追体験
各民族が信じるサンタクロース以前の原型と
それに込められた願いの温かさ
今では商業主義の権化のような目で
サンタクロースを見ていたところがあった
しかし、本書を読み終えた今では
別の視点で見ることが出来ている。
[12月25日の怪物 ]
見た目や所作では確に恐ろしいものもいた
イメージ統一前のサンタクロース
しかし、本書のタイトルを一見して得られる
怪しい、魔物、伝承の闇
そんな存在のイメージ(僕もそれを期待して買いました)
結果それは覆されてしまうけれども
その怪物達と、共に寄り添ってきた人々の絆を
一つの冒険の記憶と共に触れる事が出来る
そんな一冊