『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』 金融危機が、面白い-読書感想
ジャンル:ノンフィクション
「100年に一度」とか「世界恐慌の再来」とか言われている通り、悪いイメージしかない
ところが、その金融危機で大金を稼いだ側に視点を移すと、途端に面白い物語になった
感想
本書は3つのファンドと、1人の投資銀行員を
中心に据え展開していく。
各陣営の取った戦略とその中にあるドラマを描きながら、当時の市場が抱えていた問題・おかしな点も解説する
個性が炸裂する登場人物
各陣営のキャラクターが強烈なだけでなく、それに裏付けされた分析、哲学、行動どれもが四者四様でオムニバス感すらある。
市場が好調な中、その反対を行くかのような
アウトロー達が、最終的に勝つ(大金を得る)
その流れは、金融を舞台としていながらも
ちゃんとエンターテインメントしている。
危機の実情に近付く
また、主要人物だけでなく
といった名だたる投資銀行や多数の機関へ行った取材により、当時のウォール街の状況やサブプライムローン問題の内情についても
詳細に知る事が出来る。しかし、知れば知る程にこのおかしな状況が加速し続けた事が、理解し難い
劇的なドラマと経済危機の二つの内容がある
そういう意味でも有意義な一冊だと思う。
おわりに
本書は僕のような、金融や債券取引に詳しくない人間でも読めるように、適時説明が挿入されている。
しかし、慣れていない分野のため、せっかくの盛り上げ所なのに、よく分からないまま通り過ぎるという事が多々あったのが悲しい。
特に、本書の主役とも言える債券の内容をイメージをする事が難しかった。(ローンをプールしたものを切り刻み販売する、など)
なので、読む際は分からない用語はすぐ調べる!、という基本がとても大事な一冊でもあった。
追記
2周目をしたら、大分内容も頭に入るようになり、面白さが一段と増した。
まだ、?な部分はあるけれど、それらを解消したら更に楽しくなりそう。複数回読む事が出来る本だ。