『ロートレック荘事件』認識が歪むその瞬間-読書感想
ジャンル:ミステリー
ミステリ小説を読み出して日が浅い中、初めての館ものを読む。
ミステリー的には王道だしワクワクしてしまうにわか。
感想
すっかり騙されてしまうのはいつもの事として、本作のいざネタばらしを迎えた瞬間の
今読んでいる文章が分からない、そんな感覚が衝撃的だった。どこかで読み間違えをしてしまったかと思った(笑)
[機能しない推理]
読み進めながら一応推理めいたものを試みるが、登場人物が1人、また1人と減っていくのに、犯人が最後まで分からず…
この、普通登場人物が減っていったら候補もつけやすいのに全く分からない感覚
地味にショックな反面、面白いミステリ小説に出会えた予感が堪らない
しかし、終盤の犯人による告白と
ネタばらしには、むしろ清々しいさを覚える
小説という媒体を使った騙しの面白さを
改めて知った気分に。
[感嘆すらしてしまう、トリック]
勿論、犯人は急に現れた訳ではないし、読者が違和感を覚えるポイントもしっかり散りばめられていたと思う。
僕は深く考えずにスルーしてしまったが…
ネタばらしパートも本当に丁寧でそれにより、本作を頭から振り返る事になるのだが、本編214Pという厚さのおかげで
それが苦にならないし、更に話が奥深くなっていく感覚が素敵だった。
心地よく筆者のトリックに乗せられ過ぎて
「それマジで言ってんの。面白いじゃないの…」と心底呟いてしまう
[おわりに]
どちらかと言えば短編に入る本作
それだけに、凝縮されたこのトリックの面白さが嬉しいと同時に凄いと思った。
良かった点
- そのオチとトリック
- さくっと読めるページ数とそれを感じさせない内容
- 劇中に登場するポスターなどの画像が掲載されている
気になった点
- 犯人について、ミステリ小説に慣れた人は気付いてしまうのではないか
- メタ過ぎるネタばらしが気になる人もいそう