『ライアーズ・ポーカー』面白い、実話系 投資銀行物語 -読書感想
ジャンル:ノンフィクション、経済
米国ウォール街の大手金融機関。そこでは、どのように仕事がされているのだろう?
という興味や疑問に対して、本書を読むと得られる回答は中々強烈だった。
まさに、狂乱の日々
感想
1980年代末、大手金融機関ソロモン・ブラザーズの隆盛を、元社員である筆者自身の職場経験と社内外の状況を元に描く
全てはボーナスのために
投資家のお金を扱い事の大切さ
職場への忠誠心を持つ事の大切さ
そういった事はさして重要ではないらしい。
求められるのは、自分がいくら稼ぎ出すのか。そして、給料と年末のボーナスの金額が全てと言わんばかりの勢い
全ての動機がそこに直結しているので、取引で吹っ掛けようが、ライバル会社へサクッと転職しようが
トラブルが起ころうが、行動は一貫してるように見える。むしろ、清々しさすら覚える
イメージがことごとく破壊される
ノンフィクションであるにも関わらず浮世離れし過ぎて、もはや小説の世界に片足を突っ込んでいる感すらある本書
真剣に業務をしている場面と同じくらいにに、トレーダー達の悪ノリや悪態といったネタ要素が光る
筆者のユーモア溢れる文章も手伝い、全体的に面白おかしく読む事が出来る
(その裏では数百万~数億ドルが流れ続けている)
「これが本当に数百万ドル稼ぎ出す人達なのか…?」と何度も首を傾げる
特に、筆者が入社直後の研修生時代に、次々と登場する緩やかにどこか狂っている
強烈な個性を放つソロモン社員達との場面が印象深い
おわりに
モーゲージ債、ジャンクボンドなど新手の債権と金が飛び交うようになった1980年代末のウォール街の情勢。
その内容は興味深く、ソロモンを中心としウォール街を描く事で、全体の大まかな流れが追える
それにソロモン内部の狂騒の日々を加味し、一つの物語としても面白いところが、本書の魅力であると想う。
専門用語等については、随時説明もあり親切
だが、それでもある程度の基礎知識があれば、尚わかり易い
文庫サイズにしては少し厚めだけれど、内容の面白さはオススメしたい