最近床が友達!

日々の労働が辛い僕の体験まとめノート

量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突 実在を巡る偉大なる鬼ごっこ

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内容紹介

ジャンル:ノンフィクション

量子の発見から現在の研究まで

量子力学の成立の歴史を見る

 

量子力学に関する知識がなくても

一つの小説のように読む事が出来る

 

アインシュタインが1人で作り上げた

相対性理論に対して

量子力学は数多くの科学者により

作られたとよく言われているが

本書では正にその様子が描かれている

(アインシュタインも沢山出るよ)

 

数式は殆ど登場せず

文系の僕でも楽しめた。

ただ、度々登場する思考実験のイメージと

理論の説明について追いつかない事が

多々あった。

 

超一流の科学者達が織り成す物語は

とても読み応えがある

本編ページ数633Pは伊達じゃない

 

感想

[量子の世界]

 本書のもう一人の主人公

彼の特異な振る舞いに科学者は振り回される

  • 粒子でもあり波でもある性質
  • 位置と運動力を同時に測定出来ない       不確定性原理
  • 遥か遠くに離れた二つの量子が光の速さを超えて影響し合う非局所性

等々、物理法則でガチガチな我々の世界に

こんな世界が存在している事の面白さ

 

また、量子に関しては

科学的な問題だけでなく

観測者問題、実在についての内容など

まるで哲学のようなものも内包している

 

詳しくはこちらの本がおすすめ

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文系でも内容が分かりやすく

この分野の知識が得られるし

何よりめちゃめちゃ不思議で面白い。

 

アインシュタインが拘った実在]

アインシュタイン

「量子の世界は存在する」という考えの基に

それを正確に記述出来ない量子力学

不完全であると言う立場

 

ボーアの

「測定されない限り量子の世界は存在しない」

実験の結果を正しく記述出来ているので

量子力学は正しいという立場

 

普通に考えたらアインシュタインの立場を選んでしまうし

個人的にもボーアは振り切れ過ぎのような

しかし、それはあくまで上辺の上辺の上辺しか知らない

素人考えみたいで

実際に計算をし、実験している科学者達は

ボーアの立場らしいとのこと

 

測定出来るのに、その世界自体は測定するまで存在しない

そんな事があるんだろうか

 

[勝手に親近感を覚える]

 本書には沢山の科学者が登場する

そのどれも皆、活躍している場面だけでなく

人間的な姿も丁寧に描写されており

1度も会ったこともない

20世紀の欧米の科学者へ勝手に親近感を

抱いているという状態に

 

巻末に記載されている年表後半

本の中で生き生きと活躍していた

科学者達の訃報が連なるようになると

一つの時代の終わりと寂しさを覚えていた

 

[まとめ]

特異な振る舞いをする量子と

それに挑む科学者とその人間模様は

ドラマチックでもあるし

理論一辺倒にならない人間味を与えている

今まで知識としてだけ存在していた理論等に

新しい印象を貰ったようでもある

 

本書は量子力学の基礎部分も抑えつつ

どちらかといえば、歴史物寄りであると思った

なので、単純に知識としての本を求めるなら

やや不適当かもしれない

 

しかし、著名物理学者オールスターというべき

内容は、量子力学に少しでも興味があれば

目を通しても良い魅力がある

 

まぁ、その内容に見合ったボリュームでもあるので

その辺りは気持ちをキメて

僕は読み終わるまで3週間掛かりました(^人^)

 

 

めちゃくちゃ余談だけれど

こういうノンフィクションや伝記の

それ明らかに記録とかないだろう

って思ってたしまうようなシーンは

どうやって描かれているんだろうか

古代史捏造 旧石器発掘捏造事件とは何だったのかを探る

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内容紹介

ジャンル:ノンフィクション

2000年に起きた

旧石器発掘捏造事件

本書はその影響と事件後を描く

 

これより先に刊行された

「発掘捏造」の後日談的内容

前作と同様に取材班の活動記録を

纏めたものとなっている

 

前作に引き続き

前中期旧石器時代の初歩的な知識

そして、捏造事件に対する

学会、各自治体、研究者等

幅広い範囲で影響を見る事が出来る

 

感想

[20年の研究が消える]

この事件の最大の影響

根拠となる発掘成果が全て捏造であったため

このような事態に

 

日本人のルーツを探るためにしていた発掘が

それを余計あやふやにしてしまっていた

その後残ったのは、資料価値がなくなり

埋め戻された、「元」遺跡のみ

 

というのは、ちょっと皮肉過ぎないか

 

研究者の苦悩や嘆きを伝えるシーンもあるが

  • 重大な発掘が1人の人物に集中する状況について疑問を持たない、持つ意見は排除されていた
  • 1人の学会権威者がお墨付きを与えると簡単にそれを受け入れる
  • そもそも、前中期旧石器時代を研究するに当たり、日本考古学者の能力不足

などといった過程を

既に見てしまっているので

どうしても少し冷めた目線になってしまう

 

[旧石器発掘捏造事件とは何だったのか]

今回の事件を追ってみた結果

発掘捏造という考古学での事件であるが

 

見たい物信じたいものが現れると

それを受け入れてしまいやすい

という人間の心理が大元にあり

 

そこに日本考古学の独特な

科学になり切れていない部分

学閥や権威的なもの

自浄作用の欠如

海外を含めた発掘成果の議論不足

過熱した報道と地元の盛り上がり

等々が絡まり

 

最終的にこのような結果に

なってしまったのではないか

と感じた

 

[どんな人に勧めたいのか]

  • 発掘捏造事件を、ゴッドハンドという名称だけで通り過ぎてしまった人
  • 事件のその後を知りたい人
  • 00年代前半の日本考古学に興味のある人

 

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新世紀エヴァンゲリオン 旧劇場版 The End Of Evangelion リアタイ実況を通して色んなものが倒壊する1900文字 -アニメ感想

なぜ今エヴァ旧劇の記事を書くのか

先日(3/31)NHKBSプレミアムで放送されたものを

実況した気持ちを引きずっているからだよ

 

気持ち悪くて長い感想

僕が初めてエヴァを知ったのが小学生の頃 

クラスのサブカル的に先進的な友人が(褒めてます)

見せてくれたパズルがきっかけでした

エヴァお得意の、シーンを散りばめた中に

セリフを混ぜ込んでいくってイラストで構成されたパズル

心を鷲掴みにされた思い出が残っています。

 

[9話から始まったTV版]

秋田とかいう僻地に住んでいたおかげで

勿論当時の放送はなし

そんな中、父の職場の同僚がビデオを

持っているという事で

頼み込んで借りてきてもらったのが

9話 瞬間、心重ねて/10話 マグマダイバーが

収録されている巻でした。

後々、再放送などでTV版はちゃんと見られましたが

未だにTV版と言えば9話なんです。

 

自分自身働くようになった今思うと

職場の同僚からアニメのビデオを借りるとかいう

酷く難易度の高いお願いを父にしてしまったと思ってしまう

すまない

 

[待望と横滑りが同居するファーストインプレッション]

TV版最終回を見た方々を思ったのと同じ気持ちを

タイムラグを経て得た当時の僕

 

サブカル的に先進的だった先の友人から

軽くネタバレされていた事もあり

(今思うとグーで殴りたい)

完結編の劇場版が猛烈に気になっていたのを覚えています。

 

そして、時は少し流れ

劇場版2本をレンタルしました。

日曜夜に親が寝た後に明日の学校を捨てるつもりで

再生ボタンを押した記憶が残る

 

シト新生

総集編で面食らいつつも

始まる完結編

内容はネタバレされていた以上に衝撃的

弐号機覚醒、投下されるウナギ!

「これからどうなるんだ…」

と思った矢先に流れる、魂のルフラン

 

もともと好きな曲だったけど

更に更に心に残る曲になる

当時、映画館で見た人たちの気持ち

3割くらい味わえたでしょうか

[アンチウナギ]

次の日、親が寝た後に

火曜の学校を捨てるつもりでEOEを見ました。

先に、魂のルフランが流れたポイントも怯えつつ

無事通過

そして、弐号機の最高の戦闘シーンを経て

喰われるシーンへ

(ここも先の友人にネタバレ済み、正直グーで殴りたい)

「俺の好きな弐号機が、あんなキモい奴らに…」

それから暫く、量産機が嫌いでした

(今は大好き)

[念願の先に得た虚無と爽やかさ]

そんなシーンを抜け

まごころを、君に も見届け得た感想

よく分からない虚無

 

今は感想サイトとか書籍等で

色々知識が補強されているから

納得出来るけれど、その当時は

TV版の最終回を見たかったのに

伏線/用語は回収されたのか分からない

ショッキングなシーンの詰め合わせのくせに

最後はおかしな爽やかさを運んでくる

といった印象で終わりました

当時映画館で見た人の気持ち

4割くらい味わえたでしょうか

 

[2016-2017にエヴァを見る機会がくる]

現代に帰ってきました

昨年の秋からエヴァTV版がNHKBSプレミアムで

再放送されるとかいう 

エヴァTV版を実況出来る素敵な機会がありました

 

新劇でないエヴァ

初めて見た当時より良くも悪くも広い視点で見れるエヴァ

めっちゃ楽しかったです。

そんな中、最終回の終わりでされる告知

 

劇場版2本も放送する

 

マジかって思いました。

DeathはともかくEOEもやんの???って

上がらずにはいられない

 

[EOEと再会する]

実はEOEの実況は初めてではなくて

2014年夏の日テレで放送された時以来

その時は規制が酷くて、心配していたのですが

今回は一部除き殆ど規制なし

NHKパワーを体感する

[やっぱしんどい]

これが今回の感想

そして、初見の頃から変わらない感想

 

いくら知識増えても変わらない

しんどいものはしんどい

でも、相変わらず妙に爽やかで

すぐには無理だけど

また見たいなって思える

そんな映画

 

しんどいシーン沢山あるし

見るのにエネルギーがいる

でも、当時の良く分かんない勢いみたいなのも

最高に感じる

(これをリアルタイムで体験出来なかったのが惜しい)

 

そんな色々混ぜこぜになった想いを抱え

これからもそんな気持ちを味わうために

何年かに1度見ていく作品なんだろうなーって思う

 

しんどさと爽やかさに騙されて

そんな作品を何度も見るのは不毛かも知れないけど

好きになってしまったんだから仕方ない

 

[ありがとうと気持ち悪い]

エヴァTV版と旧劇を完走した気持ちを

体現してる2言だと思う

 

正直、新劇完結編が延び延びで

モチベーションが完全に死んでたと

思っていたけど

今回のTV版を実況するっていう

めっちゃ貴重な機会のおかけで

まだ待てる

 

でも、あと5年中には頼むって気持ちで

この楽しかった半年を終えたい

 

なんだかんだで、僕はエヴァのオタクだったんだなって

爽やかに自覚出来た期間で

それが嬉しかった

発掘捏造 日本人のルーツの為に戦った記者の記録

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内容紹介

ジャンル:ノンフィクション

 

2000年に起きた

旧石器発掘捏造事件をスクープした

毎日新聞取材班の記録

実在の事件の取材記録ながら

まるで小説を読んでいるかのような

面白さと流れがある

 

感想
[疑惑の芽生え]

今回の始まりは1通の電子メールから

その始まりが既に物語性がある

「画期的な発掘が全て1人の人物に集中している」

こんな当たり前の疑問から全てが始まっていく

[捏造を追う]

取材活動の内幕が語られる中

それは本当に泥臭い

  • 知識者にインタビュー
  • 発掘現場に前乗りの張り込み
  • 失敗を改善に次に進めていく過程

新聞記者の取材と聞いて

真っ先に思い浮かぶ以上の

取材活動であるが想像以上に過酷

元々自分達が背負っていた仕事に加えて

この捏造事件を追う活動があり

しかも、この取材班は東京ではなく

北海道支社の記者で構成されている

そういった地理的な面に加えて

旧石器や考古学という未知の知識を

自分のものにしていく勉強もしながらであり

その姿はマスコミに期待している姿を見せてくれる

[メディア側の視点から見る]

今回の事件について、やはり新聞社側の記録なので

スクープを狙う、他社との比較など

私的な面が出てくるのはどうしても否めない

それでも先に述べた取材活動の描写や

一つの事件を記事にして報道するまでの過程が

見られるのは興味深く

受動的にニュースを見ているのではなく

こういう本を読んで初めて得られる景色だった

[まとめ]

初めては捏造に対して半信半疑であった

取材班がその活動を通して

自らで獲得した知識を基に

疑惑が確信に変わり、捏造の瞬間を

カメラに収めるまでの過程は

一つの小説を読んでいるかのようでもあった

 

そして、何よりも個人的に心に残ったのは

「日本人のルーツに関わる歴史の歪曲を

21世紀に持ち込むわけにはいかない」

という言葉

そういう気持ちを持って活動する記者の姿を

素敵だなと思った

 

 

 

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今週作ったプラモ レジェンドBB 騎士ユニコーンガンダム

発売日に買った

騎士ユニコーンガンダムを作りました。

3年半物です。

 

マスクドモード

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白と金のカラーリングと

マスクのシュッとした感じがカッコいい

BB戦士のへの字ダクトのない顔は

スマートで良い…

 

ビーストモード

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こちらはよりユニコーンガンダムのイメージに近く

変形箇所はそんなに多くないのに

ガラッと印象が変わるのが素敵

マスクドモードが静

ビーストモードが動

といった感じを受けます。

 

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このキットは変身用のギミックがあり

その中でも特に好きなところを

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まずは肩部の展開ギミック

肩アーマーに接続されているプレートのパートを

開くだけなのに、これが何か凄く楽しい

シルエットもガラッと変わるし

良い意味で玩具的で素敵

 

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次に頭部ヘルメットの回転ギミック

角からマスクまで一体となったパーツが

そのまま回転し後ろへ

こういうの大好きで

差し替えじゃない、頭部パーツを動かす楽しさ

それによって隠されていた顔が現れる楽しさ

変形ギミックの楽しさを凝縮されたかのような

意味もなく動かしてしまう…

 

可動面は地味に制約があり

そんなに大きなポージングはとれないけど

そんなの関係ないないんですよ

姿が変わる楽しさ

変化ギミックの楽しが良い…

可動面も最近のBB戦士並のものが

ありますし

実際に立体物を手にすると

このデザインがますます好きになってしまいました

 

発掘狂騒史 「岩宿」から「神の手」まで 日本考古学の歴史と共に見るゴッドハンド -読書感想

 

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内容紹介

ジャンル:ノンフィクション

 

本書はF氏による旧石器事件を

メインに据えているような印象を与えますが

その内容は、1949年の岩宿遺跡の発掘

その発掘の中心的な人物の出会いまで遡り

そこから現在までの日本考古学の歴史を見る

といった内容になっています。

沢山の人物が登場し、群像劇のようでもあり

それは2000年の捏造事件に繋がっていく

 

日本考古学の流れを知る上では貴重な過程も

研究者の過去まで興味ないっといった方には

序盤が少し退屈かもしれません

 

最後の捏造事件の部分だけでも楽しめるので

その辺りは読者の取捨選択ですね

 

全編、丁寧な取材と

余計な推測等はいれず

筆者の事実を尊重する姿勢に

好感が持てます。

 

感想

「過去から遡る意味」

最初僕は、捏造事件について

知りたくて本書を買ったので

序盤から過去に飛んで以来

全くその話が出てこない事に

少し不満でした

(序章で少し登場以降、200ページくらい

出てこない)

しかし、読み進めていくと

日本考古学界の知識が補強され

(学閥、人物等)

その概要を知るだけでなく

後の捏造事件の衝撃を素人でも感じられる

土台が得られる事を読み終えてから知る

 

[なぜ気付かない]

誰しもが思ったであろうこの疑問

1人の人間に発掘が集中し過ぎており

発掘期間中に、その人間が来た時だけ

石器が出る

 

普通に考えたら違和感を抱く人が

少なくない数いてもおかしくないのに

それがずっと受け入れられ続けたのは

やはり異常としか

 

本文中にその説明として

  • 科学者は自分の欲しい発見があると信じてしまいやすい
  • F氏の努力を認める
  • 目の前で何度も発掘の瞬間を見ると信じてしまう
  • マスコミが異常に騒ぎ立てた

などの理由が挙げられているが

正直どれもピンと来ないし

一つの科学として必要な

チェック機能、自浄作用を

持っていないのでは

という疑問が浮かんだところで

 

「日本の考古学」

日本の考古学は科学

と言うより文学的哲学的な側面があり

ロマンを馳せる気風のような部分もある

という言葉が度々現れてくる

・・・マジ?

 

[猛烈な勢いで遡る年代]

 F氏の活躍により

初めは4万年万年が最古の発見であるのに

そこから、60万年前までどんどん下っていく

その発見も

  • 30km離れた遺跡から出土した石器同士が接合した
  • 原人が墓を作り埋葬した痕跡
  • 住居のようなものの跡

など、もはや石器レベルでもなく

また日本だけでなく世界の人類史すら

書き換えるような発見が行われている

 

ここまで来ると

少し遠くから、「やーすごいねー」

なんて気持ちで見始めてしまうけど

これが日本で起きた

ほんの20年前の実話なのだから

恐れ入る

そりゃ教科書も書き変わるし

改めてこの事件の意味が分かってくる

 

[まとめ]

日本考古学の歴史を見つつ

捏造事件に繋がる流れは一つの小説のようで見事

しかも、これがフィクションでないところに

ノンフィクションの面白さを感じる

 

捏造事件自体の重さは勿論だけど

それ以上に感じたのは

1度権威付けされてしまうと

我々が思っている以上に

すんなりと自分や世間に真実として

受け入れてしまうことの危うさ

 

今回の一連の捏造にしても

論文や学会など国際的に問う事もなく

そもそも発掘後の報告書も出ていないのに

考古学会の重鎮が権威付けをし

詳しく検証することなく

それに追随した結果教科書に載るという

事態にまでなっていた

 

プロであるはずの学者ですら陥る姿を顧みて

何かを疑うという視点の大切さを

改めて認識する

 

自分のよく分からないジャンルほど

その傾向が顕著であると思うので

疑う視点を持つという考えを

常に持っていたい

 

また、本書は石器の判定方法や

そのポイントについても書かれており

旧石器についての知識を得られる側面と

何よりも日本考古学界の

特に旧石器時代研究の流れをざっと掴む事が

出来るのは大きい

 

[あとがき]

本書の内容とは全く関係ないけど

今回の文庫版に収録されている

あとがきが好きでない

作家の方が書かれているのだけど

本書の取材と事実に裏付けされた内容に対して

作家的な比喩や表現が合わな過ぎて後味が悪い

あとがきなんて、読まなきゃいいと思われるかもしれないが

読んでしまったので一つ言いたかったのです。

 

 

 

科学 vs.キリスト教 世界史の転換 普遍史という異界を歩く

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ジャンル:新書、歴史

概要:17世紀から19世紀に欧州で語られていた歴史と

         それが今日の世界史になるまでの流れを見る

 

内容紹介

19世紀まで欧州で支配的であった

普遍史(universal history)から

世界史(world history)への転換に至るまで

各年代の主要人物と、その著作品

また、時代背景を併せて解説

 

19世紀までの近代化されつつ

どこか異界感が漂う世界を見る事が出来る

 

科学や聖書等の知識がなくても楽しめる反面

解説パートが主となっているので

説明的な文章量はやや多め

 

感想

[この人達は何をやっているんだ…?]

本書に登場する様々な

当時の最高峰の頭脳を持つ人達が

日々発見される新事実を必死に

普遍史へ擦り合わせている姿を

見る度にそんな感情か生まれる

 

普遍史とは]

旧約聖書の記述にある出来事を

「事実」として構成される歴史観

例えば

といった事が全て事実とされている

しかも、これが当時の欧州での

共通の歴史観というのに衝撃を受ける

所謂、マジ???ってやつ

 

[それでも普遍史はあるんだよ!]

本書では入れ代わり立ち代わり

様々な人が普遍史を維持するために

素晴らしいアイデアを魅せてくれる

  • 天地創造の1日の時間は我々のそれとは違う、いくらでも拡張可能な(1日を1千万年とする事すら出来る)、ニュートン時間の導入
  • ノアの方舟洪水の水源を地球の深淵に求める思考の旅
  • 中国の歴史の長さを組み込むために、ヨーロッパからインドまで流されるノアの一族
  • 同じくエジプトの歴史の長さを組み込むために、巨大王朝が同時多発的に乱立する構想を見出す

等々…

 

(もうそんなもの投げ捨てて

しまえばいいのに…)

そんなメタ的な気持ちすら浮かんでしまう

 

しかし、彼らの普遍史に対する姿勢は本気だ

なぜなら、自分達が真実としてきた

歴史が掛かっているからだ

 

[歴史の転換について]

今まで世界史の世界で生きてきて

ある時からいきなり

普遍史とかいう歴史観が徐々に登場し

それを裏付けるような発見が次々とされ

「やっぱり世界史って間違いみたいだから

これからは普遍史時代」

なんて結論が出そうになったら

さすがに

「いやちょっと待ってくれよ…」

と思ってしまう。

自分の信じていた歴史が転換するって

こんな感じなのかもしれない

 

更に普遍史については

その人の神に対する認識や

信仰も絡んでくるので

より一層複雑な事態に…

信仰が強ければ強い程板挟みという地獄

(個人的に、特にキリスト教徒の

なんでも神ありき思想には辟易する)

 

[まとめ]

歴史は客観的な事実と証拠、発見が

積み重なり検証されてくけど

しかし、個人的な領域では主観的な

部分がかなりを占めているのではないか

 

そういった中で普遍史を巡る流れは

一つの戦いであり、その転換の

歴史は興味深い内容であった。

 

また、本書は普遍史の他にも

17~19世紀当時最先端の

宇宙の構造や地球の生成過程

ヒトと猿の分類にも章が設けられている。

 

特にヒトと猿の分類では

ヒトの亜種、近縁種に

居穴人、有尾人などが一緒に

記載されており

そういったところでも、当時の

台頭する科学と異界の境界のような

雰囲気を知り楽しむ事が出来る